饗宴、断食、祝祭の儀礼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/07 01:30 UTC 版)
饗宴や断食は苦難の儀礼においても行われるが、苦難の儀礼では神々がはっきりと儀礼に臨在しているのに対し、ここで饗宴と断食の儀礼と称するものにおいては、共同体がその基本的で共有された宗教的諸価値への支持を公に表明することが中心となっている。これにはたとえばイスラームのラマダンにおける共同体の断食、ニューギニアの豚の屠殺、カーニバルの祝祭、カトリックの改悛の行列などといった広範なパフォーマンスが含まれる。ヴィクター・ターナーはこのような基本的な諸価値の「文化的パフォーマンス」を「社会劇」と呼んだ。このような劇は個別の文化に内在する社会的ストレスを表現し、儀礼的カタルシスの中で象徴的な形で解決しようとする。社会的緊張が儀礼の外部に持続する場合には、儀礼が繰り返し行われて圧力を低減しようとすることもある。たとえばカーニバルにおいては、人々は仮面を着用することによって別の存在となることができ、これによって差別をないものとして扱い、緊張した社会的ヒエラルキーを祝祭の中で消滅させて「通常の社会的束縛の外での遊び」という点を強調する。しかしカーニバルの外では人種、階級、ジェンダーなどによる社会的緊張は持続しており、そのため祝祭においてこれを定期的に解放することが必要となる。
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