飼育・人工繁殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 03:53 UTC 版)
本種はペットとしてペットショップなどで販売されており、丈夫・長寿な昆虫であることから成虫の飼育は容易で、本種を含む水生昆虫類の多くはアクアリウムにより観賞魚と似たような方法で飼育することができる。 森文俊は本種の飼育に関して「本種は育成が容易な種だから、各地の小中学校で地元産の個体を繁殖するなど保護・繁殖活動が拡大すれば種の保存につなげられるだろう」「本種に限らず水生昆虫類の保護には前述のような情操教育が必要だろう」と提言している。 ゲンゴロウ類の自家繁殖・繁殖個体の販売を行っている関山恵太は「ゲンゴロウ類の繁殖は根気が必要なので『飼育者自身が飼育に飽きてしまうこと』が累代途絶の最大の原因だろう。それを防ぐためにも同じく飼育・繁殖を楽しんでいる飼育仲間と『飼育に関する情報交換』『繁殖個体の交換』『採集に同行する』などつながりを持ち、モチベーションを維持することが繁殖への成否を分けるほど重要な要素になるだろう。1つの種類を系統保存するためには一個人よりも仲間とスクラムを組んだほうが有利だと思う」と述べている。 餌の破片が水中に散らばって水質が悪化しやすいため、水換えを頻繁に行ったり濾過装置を設置したりして水質の悪化を抑えることが望ましい。また水質安定・足場としての目的に加えて本来の生息域が水草の豊富な環境であるため、繁殖の有無を問わず飼育容器には水草も入れるのが望ましいが、ペットショップ・観賞魚店でなどで購入した水草は残留薬物に注意する必要がある。 一方でタガメなど水生カメムシ類(半翅目)と比較すると繁殖は難しい。幼虫は生き餌専食であるため成虫に比べて飼育が厄介で、共食いを防ぐため1頭ずつ分けて単独で飼育しなければならないほか、餌も生きた獲物を用意しなければならない。タガメの幼虫のように一斉に100頭近い幼虫が孵化するわけではないため比較的幼虫の管理はしやすいが、一通りの孵化が終わると1ペアから数十頭の幼虫が得られるため、その個別飼育にはそれなりの手間・労力を要する。ただし、ゲンゴロウ類の幼虫は本種を含め1齢・2齢幼虫の期間がそれぞれ1週間以上ある種類の場合、毎日餌を与えなくても1,2日おきに餌を与えれば餓死することはない。 1齢幼虫には主にボウフラ・アカムシ・小魚・孵化直後のオタマジャクシなどを与える。 2・3齢幼虫には小魚(メダカ・小さいワキンなど)・オタマジャクシ・コオロギなどを与える。 幼虫飼育時には極端な水温変化を避けて23 - 28℃の範囲を目安に維持し、食べ残しを頻繁に除去したり水を頻繁に交換するなどして水質悪化を防ぐ必要がある。
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