食物としての樹皮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 10:23 UTC 版)
樹皮はニレ、セイヨウトネリコ、ヤマナラシ、セイヨウナナカマド、カバノキから取られるのが普通だったが、その他にも歴史的にはヨーロッパアカマツやアイスランドゴケ (ノルウェー語では"パンゴケ"と呼ばれることもある) が原料として用いられたことがある。木の幹のうち食用たりうる部分は内皮の部分のみで、残りの部分や樹皮は人体には消化できないセルロースで構成されているため食べられない。完成した「樹皮粉」は穀物粉の1/4~1/3程度加えられる。18世紀中ごろにベルゲンの聖職者エリック・ポントピダンはしばしばもろくなるバークブレッドが互いにくっつきやすくなるとして、ニレの樹皮粉の使用を勧めている。 しかし樹皮粉を用いると通常のパンに比して苦みが増し、また出来上がるパンが食欲をそそられない灰緑色になってしまう。イースト菌が樹皮粉を十分に分解できないためパンが膨らみにくく、硬く、型崩れしやすい、といった弱点も抱える。 今日では樹皮粉はペイストリーに料理的興味から用いられることが時たまあるが、バークブレッドは非常食と捉えられており、その他の救荒食と同様、穀物の生産性が上昇するとともにその存在意義を失った。 バークブレッドは栄養価の面でも劣っており、「腹にたまる」という実感のわりに実際に得られる栄養は少ない。 ポントピダンもその他の人々も、1740年代の飢饉における高い死亡率における、全般的な食糧不足により、「不健康なバークブレッド」に人々が頼らざるを得なかったことの影響を指摘している。 しかしながらサーミ人の間では、樹皮とヨーロッパアカマツの樹皮から作られたバークブレッドは重要なビタミンC源として供されていた。
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