飛び出し坊やとは? わかりやすく解説

飛び出し坊や

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/01 23:45 UTC 版)

みうらじゅんが「0系」と命名したデザインのもの。この画像内には3体が写り込んでいる。滋賀県犬上郡豊郷町

飛び出し坊や(とびだしぼうや)とは、児童が道路に飛び出して自動車などと接触する事故を防止する目的で、ドライバーへの注意喚起のために、通学路などに設置されている看板のことである。

概要

久田工芸(滋賀県東近江市)

交通戦争と呼ばれた昭和30年代頃から、ドライバーに飛び出し注意を促す看板が日本各地で製作されるようになり、児童が道路に飛び出す姿をモチーフとするものも現れた。始めは板に児童の絵を描いただけのものが多かったが、のちに児童の形に板をくり抜くタイプが生まれ、そちらが主流となった。東北地方から九州まで日本各地にあるが、特に近畿地方に多く、なかでも滋賀県内の設置数は日本一といわれる[1]

製作・設置は主に地元のPTA町内会が行なっている。飛び出し坊やは立て看板やなどと同じ道路占用物であり、民有地以外に設置する場合は道路管理者道路占用許可が必要であるが、交通安全啓発を目的とするものであるため、無許可で設置してあっても黙認されているケースがある。

現在主流となっている飛び出し坊やは、滋賀県八日市市社会福祉協議会(現・東近江市社会福祉協議会)の発案によって、1973年6月に地元の看板製作会社「久田工芸」で男の子型と女の子型の11体の飛び出し人形が製作され、八日市市(現・東近江市)内に設置されたのが始まりとされる[2][3][4]。早くから飛び出し坊やのユニークさに注目していたみうらじゅんは、ここで製作されたものが現在主流のデザインの元祖であるとして、「0系」と命名している[5]

デザインのバリエーションの多さとユニークさから、『VOW』やABCテレビ探偵!ナイトスクープ』、tvkSaku saku』など、メディアに取り上げられることもある。関心の高まりに伴い、滋賀県内を中心に、交通事故防止目的だけでなくまちおこしに活用する動きも出ている[6]。まちおこし目的の例として、アニメ版『けいおん!』で主人公らが通う学校のモチーフとされた豊郷町立豊郷小学校のある豊郷町で同作のキャラクターなどをモデルにした飛び出し坊やが設置されて話題になったほか[6][7][8]、「0系」を基にしたゆるキャラやグッズや文房具なども作られている[9][10]

2023年11月に公開された映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』では、滋賀県を象徴するアイテムとして登場し[11][12]、「発祥の地」である東近江市の商工会では映画のキャラクターをモチーフにした「飛び出し坊や」の展示が行われている[13]

デザイン

目に入りやすいデザイン・色遣いが多い。手作りのものとホームセンターで売られている既製品がある。地域や年代ごとにデザインは様々で、特に手作りのものは細かなデザインの違いが多い。一部の飛び出し坊やには、顔の部分に写真をはめ込んだものもある。

「坊や」や「小僧」などの名称からわかるように、多くは男の子のデザインであるが、女の子や高齢者のデザインもある。また、児童に人気のある漫画アニメのキャラクターが描かれることも多く、なかには著作権上問題となりそうなものもある。

トラブル

設置場所や設置方法によっては飛び出し坊やが通行の妨げになる場合があり、都市部で見かけることは少なくなっている。例えば、2003年9月に兵庫県神戸市西区で乗用車と飛び出し坊やの接触事故が発生し、飛び出し坊やを設置した地元の小学校PTAが車の修理費用を負担した事例がある[14]

2019年11月頃には、滋賀県近江八幡市安土町で地元中学生が手掛けて設置した飛び出し坊やの一部が盗難に遭う事件があった[15]

脚注

出典

  1. ^ 9県 ロングセラーいまむかし(上) 滋賀県東近江市 とひだしとび太くん 久田工芸 交通安全見守り続け 2015年11月23日 中日新聞 朝刊 朝刊地方総合 15頁
  2. ^ ひがしおうみ社協だより第36号、2011年3月5日、東近江市社会福祉協議会発行。
  3. ^ 「飛び出し坊や ゆかいな114体 発祥の地・東近江で紹介=滋賀」、読売新聞大阪朝刊、2013年4月3日、28頁。
  4. ^ 「飛び出し坊や、誕生40年 「発祥の地」の東近江で歩みたどる写真展 /滋賀県」、朝日新聞大阪地方版/滋賀、2013年3月24日、34頁。
  5. ^ テレビ朝日タモリ倶楽部』「琵琶湖の周りに大量発生!!飛び出し坊やMAP2012in珈琲琵琶湖」 2012年1月6日放送。
  6. ^ a b “「飛び出し坊や」の王国・滋賀 進化の行き先は、まちおこし”. MSN産経west. (2011年11月25日). オリジナルの2011年11月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111127153557/http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/111125/wlf11112512280008-n1.htm 2023年11月25日閲覧。 
  7. ^ 京都新聞滋賀版 2010年6月15日[要ページ番号]
  8. ^ “「飛び出し坊や」の聖地!滋賀・豊郷には「飛び出しガールズ」も?”. オリコンニュース. (2019年6月28日). https://www.oricon.co.jp/article/846148/ 2023年11月25日閲覧。 
  9. ^ あの「飛び出し坊や」ブレイクのきっかけは、工場の暴走だった?!”. AERA dot.. 朝日新聞出版 (2015年10月17日). 2017年9月14日閲覧。
  10. ^ 「とび太くん」」とコラボ 愛荘のコクヨ ふせん、ノートを発売 2015年4月7日 中日新聞 朝刊 朝刊びわこ総合 17頁
  11. ^ “とびだしとび太、「翔んで埼玉」で存在感 実は50歳、発祥の地は今”. 朝日新聞. (2023年11月23日). https://www.asahi.com/articles/ASRCQ62Z8RCNOXIE047.html 2023年11月28日閲覧。 
  12. ^ どうのるも (2023年10月8日). “【東近江市】「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」の作中にも登場! 今年は飛び出し坊や誕生50周年です”. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2fa6a30a11ea652b9f29523aeff38f73d1d27526 2023年11月28日閲覧。 
  13. ^ 2023年11月24日の投稿 - 東近江市商工会facebook
  14. ^ “「飛び出し坊や」消えちゃう? 神戸”. 神戸新聞ニュース (神戸新聞社). (2023年11月26日). オリジナルの2003年12月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20031223095550/https://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/031126ke1110.html 2023年11月25日閲覧。 
  15. ^ “盗難の「飛び出し坊や」を作り直し 滋賀 近江八幡”. NHKニュース. (2019年12月13日). オリジナルの2019年12月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191214214735/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191213/k10012214461000.html 2023年11月25日閲覧。 

参考文献

関連項目

外部リンク


飛び出し坊や

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:10 UTC 版)

アイアムアヒーロー」の記事における「飛び出し坊や」の解説

姿を消した矢島代わり存在外見は飛び出し坊やそのもの英雄新たな話し相手として登場し矢島同じく英雄言葉賛同するようなことしか言わないが、サバイバル生活を送る英雄振り回され理不尽な扱いを受ける。

※この「飛び出し坊や」の解説は、「アイアムアヒーロー」の解説の一部です。
「飛び出し坊や」を含む「アイアムアヒーロー」の記事については、「アイアムアヒーロー」の概要を参照ください。

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