風土伝説とフィアナ伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 07:15 UTC 版)
「グラス・ガヴナン」の記事における「風土伝説とフィアナ伝説」の解説
アイルランド、クレア県の市町村(英語版)のひとつ、シャリー(英語版)にある、ドルメンらしき跡は、俗に「グラスの床」すなわち「青牛の床」 (Leaba-na-glaise) と呼ばれており、鍛冶師の所有地だったと伝わる。巷説では、その鍛冶師はマク・キニーリーか、ロン・マクリオヴァだったとされる。同県には、「グラスの山」ないし「グラスの丘」と呼ばれる地形もあり、その頂上あるいは中腹のドルメンは「グラスの岩」と呼ばれ、この山の洞窟には鍛冶師ロンが住んでいた。これは小人(ドワーフ)だとも、アイルランドで最初に鋭利な武器を作った人とも語り継がれる。 オドノヴァンが記録した口承によれば、ここに住んだという鍛冶師ロンは、トゥアハ・デ・ダナーン神族のひとりで、三つ手に片足、胸から生えた手で鉄を返し、両腕でそれを鍛錬する。すばらしい跳躍力の、その一本足で移動する。「ロンは長年の間、グラス・ガヴナハ(?)というかけがえのない牝牛によって養われていた。その牛は、火事場から遠くないグラスの山で(放牧されて)牧草を食べていた。.. この牛は、スペインから盗んで来たものだったが..」数々の場所を転々して、ここ以外にその牛に満足に餌を与えるほど肥沃な地はアイルランドのどこにもなかった。「この牛は、どんなに大きな器を搾乳のために据えても乳で満杯に満たした」。牛が満たせない器が存在するかをめぐり、二人の女性が賭けをした。一人はざる(漉し器)を持ってきたのだが、牛乳はあふれかえり、七つの川を形成した。また「この牝牛の蹄は逆についていて、力づくでこの牛を奪おうという追跡者たちをかならず化かしてしまう」などとこの風土伝説はつづく。ロンはのちにフィン・マクールを訪ね、競争を申し出た。相手の俊足のキールテ(カイルテ(英語版))は、「グラスの床」まで走り抜けるのに鍛冶師を出し抜いた。
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