預言者、使徒、聖職者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 21:05 UTC 版)
「ヘントの祭壇画」の記事における「預言者、使徒、聖職者」の解説
生命の泉の左右の集団には、聖書の登場人物、異教徒、教会関係者などさまざまな立場の人々が描かれており、ペヒトは神の子羊の礼拝に「集うために人々が列を成している」と表現している。左の集団にはキリストの誕生を預言したユダヤ教の預言者が、右の集団には聖職者がそれぞれ含まれている。左側の集団のなかで、ピンクのローブを着用しひざまずいて聖書の写本を開いている人々は旧約聖書に記されている目撃者たちである。その背後に立っているのは異教の哲学者と学者である。世界各地から参集した男性たちで、東洋風の風貌で一風変わった被り物を身に着けたものもいる。月桂樹の花冠を手にした白い装束の男性は古代ローマの詩人ウェルギリウスと見なされており、このウェルギリウスは救世主の到来を予見したといわれる人物だった。ウェルギリウスの左手前に位置する男性はユダヤの預言者イザヤで、キリストの到来を預言した『イザヤ書』(11:1) を象徴する小枝を手にしている。 右側の集団でひざまずいているのは『新約聖書』に記された十二使徒で、その背後に立っているのはカトリックの聖人たちである。赤い祭服は殉教者を象徴し、ローマ教皇や聖職者ら教会のさまざまな地位にある人物たちが描かれている。自身を象徴する石を抱えた、石打の刑で殉教した聖ステファノのように誰の肖像なのかが判明している人物像もある。赤い祭服の集団の最前列には、ヘントでも長く紛争の種となった教会大分裂に深く関係する3名のローマ教皇が描かれている。三連の教皇冠を被ったこの三名のローマ教皇たちは、マルティヌス5世、グレゴリウス12世、そして対立教皇アレクサンデル5世である。ダネンスは教皇と対立教皇が隣同士に描かれているのは「和解の様子」を描き出そうとしたためだとしている。
※この「預言者、使徒、聖職者」の解説は、「ヘントの祭壇画」の解説の一部です。
「預言者、使徒、聖職者」を含む「ヘントの祭壇画」の記事については、「ヘントの祭壇画」の概要を参照ください。
- 預言者、使徒、聖職者のページへのリンク