音楽・台本と構成
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「チェックメイト (バレエ)」の記事における「音楽・台本と構成」の解説
音楽と台本を担当したアーサー・ブリスは、ロンドンでディアギレフのバレエ・リュス公演を観てからバレエに関心を抱いていた。そして彼は、サドラーズ・ウェルズ・バレエの創設期に深いかかわりを持っていた。 チェスを題材としたバレエの構想は、ブリスによるものである。チェスを取り上げたバレエ作品には1607年の『バレ・デゼシェク』という先例があった。フランス王ルイ14世が観覧する前で踊られたこの作品では、出演するダンサーは単に大きなチェスの駒に過ぎなかったのに対して、『チェックメイト』ではそれぞれの駒に生命が宿り、感情の機微を表現している。 ブリスがド・ヴァロワにチェスを題材とした作品の話を持ち掛けたところ、ド・ヴァロワはそのアイディアに基づいて愛と死と権力をテーマとしたドラマティックな作品に仕立て上げた。ただし、ド・ヴァロワと美術・衣装担当のカウファーはチェスをよく知らなかったため、ブリスは2人にルールを1から説明しなければならなかった。ブリスは当時のことを次のように回想している。 私は大きなチェス盤の上であちこち駒を動かして、それぞれの動きを見せた。ナイトは他の駒を跳び越せること、(中略)キングはひとコマずつしか進めないことなど… — 『バレエ大図鑑』、pp.192-193. 『チェックメイト』はブリスの代表作として高く評価され、その後も多くのバレエ作品の作曲を手掛ける契機となった。『チェックメイト』以外のバレエ音楽では、『ゴーバルズの奇跡』(ロバート・ヘルプマン振付、1944年)、『アダム・ゼロ』(ヘルプマン振付、1946年)などが知られる。『チェックメイト』はバレエの舞台以外では、吹奏楽編曲でもしばしば演奏されている。 曲の構成は、次のとおりである。 プロローグ-チェスの指し手たち(The Players):モデラート・マエストーソ(Moderato maestoso) 赤のポーンたちの踊り(Dance of the Red Pawns):アレグロ・スピリト・スケルツァンド(Allegro spirito scherzando) 4人のナイトの踊り(Dance of the Four Knights):アレグロ・モデラート・センプレ・ロブスタメンテ(Allegro moderato sempre robustamente) 黒のクイーンの入場(Entry of the Black Queen):リステッソ・テンポ(L’istesso tempo) 赤のナイトのマズルカ(The Red Knight’s Mazurka):モデラート・ジョコサメンテ(Moderato giojosamente) 赤のビショップのセレモニー(Ceremony of the Red Bishops):ラルガメンテ(Largamente (misticamente)) 赤のルークの入場(Entry of the Red Castles):アレグロ・モルト・デチーゾ(Allegro molto deciso) 赤のキングとクイーンの入場(Entry of the Red King and Queen):グラーヴェ(Grave) 攻撃(The Attack):アレグロ・インペトゥオーソ・エ・ブリランテ(Allegro impetuoso e brillante) 決闘(The Duel):マエストーゾ・モデラート・エ・モルト・アパッシオナート(Maestoso moderato e molto appassionato) 黒のクイーンの踊り(The Black Queen Dances):アレグロ・ディスペットーゾ(Allegro dispettoso) フィナーレ - チェックメイト(Finale - Checkmate):アンダンテ・ポコ・ソステヌート-アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・フェローチェ(Andante poco sostenuto - Allegro vivace e feroce)
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