音楽と業績
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/20 17:10 UTC 版)
「エイドリアン・ボールト」の記事における「音楽と業績」の解説
エルガー、ヴォーン・ウィリアムズなどイギリス音楽を得意としており、ホルストの『惑星』は5回も録音し、ハヴァーガル・ブライアンの紹介や初演もするなどスペシャリストとして知られる一方で、同じイギリス音楽でもフレデリック・ディーリアスやベンジャミン・ブリテン、マイケル・ティペットとは縁遠い存在だった。ディーリアスに関しては音楽的な面で嫌悪していたし、ブリテンに関してはブリテンがボールトの指揮ぶりを批判したことに対する「仕返し」の意味でレパートリーに入れなかった。ボールトはイギリスの近代音楽ばかりでなく、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、ヨハネス・ブラームス、リヒャルト・ワーグナーなどドイツ音楽の演奏でも評価が高い。 しかし、「若い指揮者は細部にこだわりすぎて全体的な構成をないがしろにしている」と苦言を呈していたボールトの指揮は、派手さに欠けるため、働き盛りの時代には、トーマス・ビーチャム、マルコム・サージェント、ジョン・バルビローリといったスター性のあるイギリス人指揮者の陰に隠れた存在であった。ビーチャムらの没後、1970年ごろになってようやくその真価が見出されたとき、ボールトは80歳近い高齢であった。 EMIレーベルに晩年の録音が多く残されており、ボールトと同世代の指揮者には「聴衆のいない録音スタジオでは気分が乗らない」という人物が多く見られるが、ボールトは「全く変わらない」と断言していた。 ボールトに師事した指揮者にロジャー・ノリントン、ダグラス・ボストック、カーク・トレヴァーがいる。 著書にThoughts on Conducting(日本語版『指揮を語る』誠文堂新光社、翻訳:岡崎昭子)がある。
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