音や映像のデータ圧縮に要する時間と品質の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 14:49 UTC 版)
「トレードオフ」の記事における「音や映像のデータ圧縮に要する時間と品質の例」の解説
パソコンの分野で、たとえば、音のデータをMP3などに、あるいは、映像のデータをMPEG-2やH.264などに圧縮・変換するといったことがしばしば行われる。音や映像の圧縮(エンコード)では、データフォーマットのみが規定されており、どのような方法を用いてデータをエンコードするかはアプリケーションごとに自由にまかされている。そのため、同じパソコンを使用しても、アプリケーションによって品質やエンコードの時間に違いがある。 音や映像のエンコードに要する時間と品質もトレードオフの関係にある。品質を上げようとすれば、たくさんの計算を必要とする装置になりやすく、エンコードに要する時間が増大する。逆に、エンコードに必要な時間を短くしようとすると、データを走査する処理をなるべく省いたり、細かい計算を省略するなどの工夫を行うため、品質が劣化しやすくなる。このように、同じ処理能力をもつ装置でソフト的にも冗長(アルゴリズム的に見て無駄)な処理を行っていない条件で、エンコードの品質を重視すると時間が犠牲になりやすく、処理時間を重視すると品質が犠牲になりやすくなる。 音や映像のエンコードでは使用する用途による制約も受ける。パソコンによるエンコードでは、品質を重視するかあるいは処理時間を重視するかをアプリケーション開発者もユーザも自由に選択することができ、比較的制約がゆるい。一方、ビデオカメラや放送の送信機器のように実時間以内に必ずエンコードを完了しなければならない用途では、実時間以上にエンコードの時間を増やすことができない。品質と時間の両方をいいところ取りしようとすると、より高い計算能力をもつ処理装置が必要になり、業務用機器のように非常に高価なものになる。また、ビデオカメラでは、高い計算能力をもつ処理装置を使用すると今度は消費電力が大幅に上昇し、これを補うためにバッテリの容量を増やすと今度は重量が増大するといった別の問題も生じ、電源コンセントで使用する据え置き型の機器に比べてさらに厳しい制約を受ける。これらは、時間と品質とは別に、処理性能対コスト、処理性能対消費電力、処理性能対重量のトレードオフの関係にある。このように、使用する目的や条件とさまざまなトレードオフを考慮に入れながら、何を重視しどのようにバランスをとるかを取捨選択していく。
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