集合の代数学の基本法則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/24 05:42 UTC 版)
「集合の代数学」の記事における「集合の代数学の基本法則」の解説
和集合と共通部分に関する二項関係は、さまざまな恒等式を満足する。その一部には法則としての名称がある。以下で命題として証明なしで3つの規則を示す。 命題 1: 任意の集合 A、B、C について、以下が成り立つ。 交換法則: A ∪ B = B ∪ A {\displaystyle A\cup B=B\cup A} A ∩ B = B ∩ A {\displaystyle A\cap B=B\cap A} 結合法則: ( A ∪ B ) ∪ C = A ∪ ( B ∪ C ) {\displaystyle (A\cup B)\cup C=A\cup (B\cup C)} ( A ∩ B ) ∩ C = A ∩ ( B ∩ C ) {\displaystyle (A\cap B)\cap C=A\cap (B\cap C)} 分配法則: A ∪ ( B ∩ C ) = ( A ∪ B ) ∩ ( A ∪ C ) {\displaystyle A\cup (B\cap C)=(A\cup B)\cap (A\cup C)} A ∩ ( B ∪ C ) = ( A ∩ B ) ∪ ( A ∩ C ) {\displaystyle A\cap (B\cup C)=(A\cap B)\cup (A\cap C)} 和集合と共通部分が数の加法と乗法に性質が非常によく似ている点に注意が必要である。加法や乗法と同じく、和集合や共通部分の操作は可換で結合的であり、共通部分は和集合に対して分配的である。しかし、加法や乗法と異なる点として、和集合も共通部分に対して分配的である。 次の命題では3つの特殊な集合に関する2組の規則を示している。3つの特殊な集合とは、空集合、普遍集合(universal set)、補集合である。 命題 2: 普遍集合 U の任意の部分集合 A について、以下が成り立つ。 同一性の規則(identity laws): A ∪ ∅ = A {\displaystyle A\cup \varnothing =A} A ∩ U = A {\displaystyle A\cap U=A} 相補性の規則(complement laws): A ∪ A C = U {\displaystyle A\cup A^{\mathrm {C} }=U} A ∩ A C = ∅ {\displaystyle A\cap A^{\mathrm {C} }=\varnothing } 同一性の規則(と相補性の規則)は、加法や乗法で 0 と 1 がそうであるように、∅ と U が和集合や共通部分の単位元であることを示している。 加法や乗法とは異なり、和集合や共通部分は逆元を持たない。しかし、相補性の規則は一種の逆元的な集合の相補性の単項演算の基本的性質を示している。 以上の5組の規則(交換、結合、分配、同一性、相補性)が集合の代数学の基本であり、これらから全ての集合の代数学の定理が生まれる。
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