開発独裁と反共主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 13:42 UTC 版)
開発独裁政権とされた発展途上国は、共通項の一つに反共主義があった。この目的のほとんどは西側の先進国、特にアメリカ合衆国からの援助を受けることにあったのだが、実際は共産主義(マルクス・レーニン主義)とノウハウや組織方法は共通している点もある。例えば、中華民国の蔣経国、大韓民国の朴正煕は過去に共産党員だった経験から、一党独裁制や計画経済など主に東側の社会主義国で行われていた手法を取り入れた。タイのタクシン・チナワット政権、シンガポールの人民行動党のように共産主義勢力と関係を結んだ例もある。共産圏でも独自の非同盟を掲げたチトー政権時代のユーゴスラビアは東側と同時に西側からも援助を受けて経済開発を行ったことから、一種の開発独裁とする見解もある。つまり、開発独裁と共産主義は親和性がないとは限らない。 特に「開発独裁」を造語したジェームス・グレガーの積極的な研究対象にもなっており、中国共産党の独裁下での鄧小平による改革開放から西側先進国からの援助や投資を受け入れて著しい経済成長を達成した中国は開発独裁の外観を具備していると呼べる。計画経済ではなく、市場経済化(社会主義市場経済)によって一党独裁を続け、自由化も民主化も行わず、アメリカ合衆国に次ぐ経済大国になった中国のモデルはワシントン・コンセンサスと比較して北京コンセンサス(英語版)や国家資本主義とも呼ばれ、同じく共産党独裁政権下のベトナムも同様にドイモイ政策を導入している。 また、ソ連崩壊後の中央アジアやカフカス地方ではトルクメニスタンのサパルムラト・ニヤゾフ政権、カザフスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンなどに代表されるように、旧共産党指導者が「開発独裁」的な政権運営を行っているような例もある。
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