鉛の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 14:17 UTC 版)
本作品のように、鉛板をこれほど大掛かりに漆器へ組み入れる様式は室町時代の硯箱には見られず、光悦の独創的アイデアといえる。この大胆な着想の裏には、若い頃より家職として刀剣の鑑定・研磨・浄拭に研鑽を重ね金属の特質・見せ方を知悉していた光悦の経験があると考えられる。 鉛板が醸す渋い野趣と、華やかで煌びやかな金蒔の組み合わせという趣向は、当時の茶の湯の美学に通じるところがある。鉛板の粗面は琳派の画法に特徴的なたらしこみ法の立体的表現とも言え、俵屋宗達の感化が認められる。また歌文字の「舟橋」を省略して鉛板の橋を以って代えるというコンセプトは、和歌の技法でいう「見立て」に相当するともいえ、古典に通じていた光悦のセンスをうかがわせる。
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