金星搭載の経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 13:41 UTC 版)
「零式艦上戦闘機の派生型」の記事における「金星搭載の経緯」の解説
金星搭載は武装・装甲の重量増加によるエンジンの出力不足を補うためではなかったが、実際に速度・運動性能は向上した。ただし、金星搭載案はこれが最初ではなく、公式には過去において(五四型開発時も含めて)3度検討されている。 一度目は、三二型開発当初に栄二一型への換装と共に検討されている。このときは、換装対象が採用前と言うこともあり設計段階で候補から外されている。 二度目は五二型生産開始直後であり、誉の増産の代償として栄の生産縮小が計画されたことから、全ての栄搭載機について金星への換装が検討され、当時生産されていた三菱製五二型と中島製二一型も検討対象になっている。五二型への換装はかなり真剣に検討された(生産終了の近い中島製二一型は栄装備のまま)が、航続距離が20%減少する割に速度が上がらず、翼面荷重も局戦並みに高くなると試算された(金星装備零戦の生産開始まで一年近く必要なことも問題視された)ことから、三菱には零戦を減産させる代わりに既に生産開始されていた雷電を増産させ、中島には十七試艦戦(後の烈風)の実用化まで二一型を生産させた方がよいという理由により、この換装計画も破棄されている。尤も雷電とその代替である紫電・紫電改の生産遅延のため、間もなくこの方針は撤回され、零戦の増産と性能向上型(後の五三型)の開発が命じられている。 三度目の換装計画も、中島に誉の更なる増産を命じる代わりに生産終了する栄の代替として金星が搭載されたという事情があった。この他にも、設計現場で金星換装は幾度か検討されているとの証言もある。
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