野猿・吊舟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 21:06 UTC 版)
野猿 野猿(やえん)は、川を越えるなどの目的で設置された人力の索道である。川の両岸にワイヤロープを渡し、このロープに「屋形」と呼ばれる車体(ゴンドラ)をつり下げる(このロープが支索の役割を果たし、屋形が搬器に相当する)。利用者は屋形に乗り、別に渡されたロープ(このロープが曳索の役割を果たす)をたぐることで屋形を前進させる。この様子が猿に似ていることから「野猿」と呼ばれる。江戸時代には籠渡しと呼ばれ、橋をかけることができないか困難な渓谷、または橋の建設が許可されていない流刑地で運用された。現在は既に実用の交通手段として使われていないが、奈良県十津川村や、徳島県三好市の奥祖谷二重かずら橋公園で見られる。なお、同様の構造を持つものがフィールドアスレチックのアトラクションとして使われている事があり、一例として鬼怒川にある鬼怒グリーンパークの水上アスレチックアトラクションの一つとなっている。他にも、この方法で山林から木材を搬出する索道では「矢遠」の表記が用いられることがある。 吊舟 かつては徳島県那賀郡相生町など(現那賀町)に「吊舟(つりふね)」と称する人力の索道がいくつかあった。当初は野猿と同様のものであったが、戦後に鉄製の搬器で自転車のようにサドルとペダルを備え足で操作することによって進むものが現われた。観光施設などではなく、最後まで町道にも指定された生活の足であった。橋の整備により次第に数を減らし、末期は川浦地区と国道を結ぶ「川浦の吊舟」のみが残されていたが、1999年に橋の整備により廃止、撤去された。
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