重症外傷の予後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/14 02:55 UTC 版)
最も生命を脅かすのはABC(気道・呼吸・循環)の阻害である。詳細はJATECの項を参照されたい。時間的に見て早期に死亡原因となるのは出血であるが、これは単に失血のみならず、心タンポナーデを始めとした各種の内出血によるタンポナーデによるものもあれば、肝臓・脾臓・大動脈が損傷すれば胸腔・腹腔に大量に出血して死に至る。目に見える外出血の有無にとらわれては重傷度の判断はできない。 また、脊髄損傷は受傷直後は無症状である場合が少なくない。受傷後に傷病者自身や周囲の人間が不用意に動かすことによって脊椎損傷が脊髄損傷に発展する。この場合、呼吸麻痺や脊髄原性ショックによる心停止の危険があるのみならず、生存しても機能予後が大きく低下する。詳細はJPTECを参照のこと。 感染症は受傷の2〜3日後から発現する。創傷面からの感染は勿論のこと、肺炎(人工呼吸器を使用している場合)や皮膚炎、さらに安静によって生じる褥瘡からの感染も無視できない。 コンパートメント症候群や挫滅症候群(クラッシュ症候群)は、その兆候に注意することである程度は救命できるが、「それが予測でき、かつ措置を講じた」としても救命できない例も多い。阪神・淡路大震災やJR福知山線脱線事故において、24時間以上を経てようやく救出されたにもかかわらず、救出後にクラッシュ症候群により死亡した例が典型的である。 東京医科歯科大の高山渉らの研究で血液型O型では重症の外傷の場合に死亡率が高く32%となり、その他の血液型の11%より高かった。
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