都市部における暗渠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 17:00 UTC 版)
都市部における暗渠化は、戦前より例はあったとはいえ、特に高度経済成長期以降、都市化・宅地化の進行に合わせて一斉に進められたが、その多くは地域住民の強い要請を踏まえたものであった。背景には、宅地化の進行に対して下水道の整備がまったく追いついていなかったという当時の事情がある。行き場を失った大量の生活排水により、かつての小川はドブと化し、猛烈な悪臭を放つようになっていた。加えて台風時などに雨水があふれるという水害が住宅地を襲うこともあり、堪えかねた住民たちは暗渠化を願い、行政に働きかけることも多かったのである。また、特に東京では、1964年東京オリンピックの開催に合わせて、都市の体面を整える目的で暗渠化された“ドブ川”が少なくなかった。下流部に開渠がある場合清流復活事業として、高度処理下水再生水を流入させているが、暗渠の部分はそのまま下水道幹線として使用されている。治水工事で整備改修されている区間もある。 敷地の有効利用の目的からか、暗渠の上を道路や遊歩道、緑道へ転用している例がしばしば見られる。川がないのに欄干(らんかん)が残っている場所があるが、これは地下に暗渠がある証拠である。もともとの川幅の狭さや強度の関係もあり、多くは車両通行禁止の遊歩道などに転用している。幅が比較的広い川を暗渠にしたケースでは、自動車が通行可能になっていることもある。また、川を蓋がけして作られた経緯から、路面が沿道の宅地よりも若干低くなっていることがある。 なお、地下に水道管を埋設するために直線的に整備された、いわゆる水道道路もまた、暗渠の一種である。
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