進化トラック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 15:04 UTC 版)
詳細は「恒星進化論」を参照 主系列星が核での水素を消費したとき、エネルギー生成の喪失によって重力崩壊が再び発生し、恒星は主系列から進化する。恒星がHR図上で描く経路は進化トラックと呼ばれる。 0.23太陽質量よりも軽い恒星は、核での水素核融合によるエネルギー生成が止まると直接白色矮星になると予測されているが、この進化を起こすほど年老いた恒星は存在しない。 0.23太陽質量よりも重い恒星では、ヘリウム核を取り巻く水素が核融合を起こすのに十分な温度と圧力になるため、ヘリウムの核周りでの水素燃焼殻が形成され、恒星の外層は膨張して低温になる。主系列から外れているこれらの恒星は準巨星分枝 (英: subgiant branch) として知られている。この段階は比較的短いため観測される恒星数が少なく、進化トラック上でヘルツシュプルングの間隙と呼ばれるギャップを作る。 低質量星のヘリウム核が縮退すると、あるいは中質量星の外層が不透明になるほど低温になると、水素燃焼殻の温度は上昇し恒星はより明るくなり始める。この段階は赤色巨星分枝と呼ばれる。この段階は比較的寿命が長いため、HR図上でも明確に現れる。これらの恒星はいずれ白色矮星となって恒星としての生涯を終える。 最も重い部類の恒星は赤色巨星にならず、核が急速にヘリウムやその他の重元素の核融合を起こす温度へと到達して超巨星へと進化する。これらの恒星はHR図の上部で主系列からほぼ水平な進化トラックを進む。超巨星は比較的希少であり、大部分のHR図上で目立った存在とはならない。超巨星の核はいずれ崩壊し、通常は超新星爆発を引き起こして中性子星かブラックホールを残す。 O2型のスペクトルを持つような高温で大質量の恒星は、主系列を経ず、青色巨星や青色超巨星として誕生し、150万年以内にWN型のウォルフ・ライエ星へと進化するものと考えられている。例として、大マゼラン雲に存在するmelnick42(英語版)が挙げられる。 星団の恒星がおおむね同時期に形成されたとき、これらの恒星の主系列の寿命はそれぞれの恒星の質量に依存すると考えられる。最も重い恒星が最初に主系列を離れ、その後低質量の恒星がそれに続く。HR図上で星団内の恒星が主系列から離れる場所を転向点(英語版)と呼ぶ。転向点に位置している恒星の主系列の寿命が分かれば、その星団の年令を推定することが出来る。
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