進化上の重要性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 21:10 UTC 版)
リーリンとDAB1の間の相互作用は、単層の有羊膜類から多層の現世哺乳類に至る皮質の構造進化に重要な役割を演じた。研究によると、リーリンの発現量は皮質が複雑になるほど大きくなり、ヒトの脳で最大となる。リーリンは、これまで調査された全ての脊椎動物の終脳に存在するが、発現パターンには大きなばらつきがある。例えば、ゼブラフィッシュにはカハール・レチウス細胞が全くなく、代わりに他の神経細胞から分泌される。両生類では分泌細胞は層を形成せず、脳での放射状の移動は非常に少ない。 皮質がより複雑になると、適切な層形成のために放射状グリア繊維に沿った移動がより重要になる。リーリン分泌層の出現はこの進化の過程に重要な意味を持つと考えられている。この層の重要性に関しては、矛盾したデータがあるが、リーリンの機構と相互作用する別のシグナルによる配置機構があると説明されるか、または実験に使われたネズミは、局所的に合成する人間の脳と比べて、非常に多量のリーリンを分泌していたと説明される。 出生時にほとんどが消滅するカハール・レチウス細胞では、チンパンジーと比べてヒトの進化が最も大きいとされるHAR1遺伝子とリーリンが共発現する。また、リーリン経路は現在も進化の途上にあることを示す証拠がある。2007年に初めて発見されたDAB1遺伝子の変異は、現在中国人に広がっているが、他の人種では見られていない。
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