通貨切り下げ(つうかきりさげ)
2つの通貨の交換比率を一定にする固定為替制度では、経済情勢の変化により一方の通貨の価値が下がれば、その通貨の為替レートを引き下げて外国為替相場の均衡を保つ必要がある。
貨幣制度の異なる相手国と貿易をする場合、手元にある現金を動かさず、銀行の仲介で手形を用いて決済する方式が採られている。このとき、貸借関係は、自国通貨と相手国通貨の交換比率である為替レートによって換算される。
経済情勢の悪化などで自国通貨の価値が下がると、固定相場制では、貿易相手国は取引を避けようとする。なぜならば、同じ為替レートで固定されている限り、貿易相手国にとって、実体経済に見合うだけの通貨の交換価値がないためだ。すると、貿易輸出量は減少に向かう。
なお、通貨の切り下げは固定相場制に特有の金融政策であって、日本やアメリカ、EUなどで採用されている変動相場制では、市場原理により適正な為替レートへと動くようになっている。
巨額の財政赤字を抱えるアルゼンチンでは、対外債務の返済の一時停止(モラトリアム)を実施した。この結果、アルゼンチンの通貨「ペソ」は国際的な信用を失い、債務不履行(デフォルト)の宣言も近いとささやかれている。
アルゼンチンは、これまで1ドル=1ペソだった固定為替レートを1ドル=1.4ペソ程度にまで引き下げる方針だが、実体経済に見合うまで通貨の切り下げが繰り返される可能性もある。メキシコやブラジルの金融危機では、固定相場制から変動相場制に移行した経緯もあり、結局は市場原理に基づく柔軟な変動相場制に落ち着くのではないかと見られる。
(2002.01.07更新)
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