軍事戦略拠点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/22 18:37 UTC 版)
ラブラドールは第二次世界大戦当時、および冷戦時代、戦略的に重要な役割を果たした。1940年代前半、ドイツ海軍のUボート乗組員が密かに無人測候所「クルト測候所(英語版)」をラブラドール先端部のチドリー岬付近に設置した。この測候所はわずか数日間だけドイツ海軍に気象観測結果を送信しただけだったが、1980年代になってカナダ沿岸警備隊で働く歴史家が発見しその正体を突き止めた。 カナダ政府は第二次大戦時、ハミルトン湾から続くメルビル湖の最奥部にあるグースベイの砂州に大規模な航空基地を建設した。この場所は海へのアクセス、守りやすい位置、霧の少なさから滑走路の場所に選ばれ、大西洋防衛の要となった。後の冷戦の時期もアメリカ空軍、イギリス空軍、後にはドイツ・オランダ・イタリアなど西側諸国軍も利用している。今日でもこの基地(カナダ軍基地グースベイ、CFB Goose Bay)はハッピーバレー・グースベイ地区の最大の雇用先である。 加えて、アメリカ空軍と王立カナダ空軍は、北米大陸を東西に貫く二重三重の防空レーダー網(パイントゥリー・ライン、ミッド・カナダ・ライン、DEWライン)の一環として多数のレーダー基地をラブラドール沿岸に建設し運営した。現在では残ったレーダー基地が無人化され北部警戒システムの一部として稼動している。冷戦初期、レーダー基地を取り囲むように軍人の居住地ができたが、これらは今もなおインヌやイヌイットの集落として利用されている。
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