起源と遺伝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/06 09:19 UTC 版)
色素体は10億年以上前に生じた祖先型真核生物と祖先型シアノバクテリアとの内部共生に由来するものであり、真核生物に取り込まれた細菌が光合成のための代謝中心として保持されたものであると考えられている。その証拠は、色素体のゲノムの特徴が現代のシアノバクテリアと密接に関連していることからも観察される。太古の共生以降、色素体のゲノムは大きく縮小し、約2500種類の関連タンパク質のうち自身のゲノムがコードしているのは約100種類にすぎず、それ以外の遺伝子は核ゲノムへ移行している。 大部分の色素体と同様、エライオプラストは親細胞の分裂とは独立して二分裂によって増殖し、これは祖先型細菌の特徴である。分裂は細胞質分裂の直前に起こり、細胞質の構成要素として娘細胞へ受け継がれる。 他の色素体ファミリーと相互転換することから明らかなように、エライオプラストは他の全ての色素体と同一のゲノム(plastome)を持っており、被子植物では主に母性遺伝する。父親由来ののplastomeは、花粉の発生または花粉管の形成過程で排除される。花粉の発生過程では、父親の色素体は小胞子(英語版)の分裂の直前にマイクロフィラメントによって移行が阻止されるか、その直後に分解される。父親由来の色素体は花粉管の形成過程でも阻止され、色素体は精細胞が卵と融合する際に分離される。
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