赤い竜と獣が象徴するもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 07:05 UTC 版)
「黙示録の獣」の記事における「赤い竜と獣が象徴するもの」の解説
「赤い竜」と「十本の角と七つの頭があった獣」とはキリスト教を迫害・冒涜するローマとカトリックの象徴である。「十本の角と七つの頭があった獣」とは、七つの丘や七人のローマ皇帝を指す。七つの頭の内、「既に倒れた五人」が初代から五代までのアウグストゥス、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロ。「今の一人」がウェスパシアヌス。「しばらく留まる」のが、僅か二年の治世で病死したティトゥス。「七人の一人である八番目」は、ティトゥスの後に皇位に就き、ネロの再来であると噂されたドミティアヌス。「頭の一つは傷付けられるが、すぐに治る」というのも、ネロがドミティアヌスとして復活する事を指していると考えられる。十本の角とは、七つの頭の皇帝に、六十九年に乱立したガルバ、オトー、ウィテリウスを加えた十人の事を指す、とされることが多い。七つの丘とした場合はカピトリウム、パラティウム、アウェンティヌス、エスクイリヌス、カエリウス、クイリナリス、ウィミナリスという丘の名であり、ローマの象徴である。このように、黙示文学とは実際に起きたことを指すのではなくあくまで比喩として隠して取り上げる文学のことである。当時キリスト教は迫害され、地下墳墓で教会活動を行っていた。表立ってローマ皇帝への批判などできなかったのである。もちろんサタンとはローマやカトリックそのものを指す。黙示録は読むべき人が読めば理解できるように記してその代表例がゲマトリアで記され、一般的に666として知られる「獣の数字」である。これはローマ教皇を指していると一般的には言われている。したがってすべてがカトリックの冒涜から逃れるために、比喩や象徴を用いた一種の暗号で書かれている。 「七つの頭と十本の角を持つ赤い竜」、「十本の角と七つの頭があった獣」は紛らわしいが、実は同じ頭数で同じ本数である。象徴する意味も同じである。ただし、赤い竜とはエデンの園で禁断の果実を食べさせるようにそそのかしたサタンであるとして、邪悪そのものといった方が正しいと考えられる。その邪悪そのものから権威と支配を「鉄の杖」でもって獣、すなわちローマ帝国に与えられるのである。鉄の杖とは世界を支配する象徴でもあり預言者の象徴でもある。ゆえに、偽預言者という記述がこれ以降登場することになる。偽預言者とは獣、すなわちカトリックを指しているのである。
※この「赤い竜と獣が象徴するもの」の解説は、「黙示録の獣」の解説の一部です。
「赤い竜と獣が象徴するもの」を含む「黙示録の獣」の記事については、「黙示録の獣」の概要を参照ください。
- 赤い竜と獣が象徴するもののページへのリンク