質量・軌道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 21:10 UTC 版)
LB 11146の二つの白色矮星は、どちらも質量が、太陽の9割程度と推定される。つまり、系の合計質量が、チャンドラセカール限界(太陽質量の約1.4倍)を上回っており、もし二つの白色矮星が合体することがあれば、Ia型超新星になる可能性がある、ということである。 Ia型超新星の前駆天体は、白色矮星を含む連星と考えられており、広く支持されている理論では、白色矮星と低質量の主系列星の連星だが、白色矮星同士の連星も候補としては挙げられている。チャンドラセカール限界を突破しうる白色矮星同士の連星は、ずっとみつかっていなかったが、LB 11146の「発見」によって、その実在が初めて確認された。 ただし、LB 11146の二つの白色矮星が将来合体するかどうかは、LB 11146の連星間距離に問題がある。ハッブル宇宙望遠鏡のファイン・ガイダンス・センサ(英語版)による観測で、連星の分解に成功し、時間をおいて複数回観測した結果、連星の軌道を求めることができた。LB 11146の連星間距離はおよそ0.5AUで、公転周期は130日程度と推定される。この軌道は、将来LB 11146の二つの白色矮星が合体して超新星になると考えるには、離れ過ぎている。しかしながら、LB 11146の存在は、チャンドラセカール限界を超える質量を持つ白色矮星同士の連星の証明であり、白色矮星同士の合体でIa型超新星となる筋書に可能性を示すものであって、実際他に、Ia型超新星の前駆天体候補とされる白色矮星同士の連星もみつかっている。 LB 11146の連星間距離は、合体して超新星となるには離れているが、一方で、質量からして白色矮星へ進化する過程で経てきたであろう漸近巨星枝星段階では、双方の恒星半径が連星間距離を上回り、共通外層を形成していたことが予想されるので、共通外層の進化理論を検証する上では、格好の実例ともいえる。
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