前駆天体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 16:27 UTC 版)
「いっかくじゅう座V838星」の記事における「前駆天体」の解説
発見後すぐ、いっかくじゅう座V838星の位置に、爆発以前にガイド星星表やIRASカタログへ記載された天体が同定され、2MASSなどの観測データがあることもわかった。増光前の観測データと、増光後のスペクトルなどを総合して、太陽よりやや小さく、典型的なものよりだいぶ暗いF型主系列星と推定されたが、増光に伴って発生した「光のこだま」現象を正しく解釈できなかったことにより、距離を2,000から2,600光年と見積もったことに基づく結果であった。 より正確な推定によって、いっかくじゅう座V838星までの距離は約2万光年と求められた。この距離が正しいとすると、この恒星はもっと大きく、太陽よりかなり明るいことになる。質量は太陽の5倍から10倍と見積もられ、光度も太陽の550倍から5,000倍となった。爆発前の半径は太陽のおよそ5倍で、表面温度は4,700から30,000K程度あったと予想される。また別の説では、前駆天体である恒星は、太陽のおよそ65倍もの質量を持つ大質量の超巨星で、年齢も400万年程度でしかないと予想されている。 いっかくじゅう座V838星のスペクトルは、前駆天体の傍に高温で青いB型主系列星の伴星があることを示している。前駆天体は、伴星よりもやや質量が小さく、主系列段階に入ったばかりの恒星である可能性もある。伴星の観測された明るさを理論値と比較すると、星系までの距離はおよそ3万3,000光年と大きめに見積もられる。
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