買占めの失敗による株価暴落
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 00:14 UTC 版)
「1907年恐慌」の記事における「買占めの失敗による株価暴落」の解説
10月16日水曜日、買占めが失敗したことでオットーが株の代金を支払えなくなったことにより、オットーの指示で大量のユナイテッド銅社株を購入していた証券会社グロス・クリーバーグ商会が営業停止に追い込まれた。翌10月17日木曜日、ニューヨーク証券取引所は、オットー・ハインツ商会の取引所会員権を停止したと発表。一方で、ユナイテッド銅社株暴落を受けて、アウグスタス・ハインツが所有するモンタナ州のビュート・ステート貯蓄銀行が債務不履行に陥ったことが報じられた。この銀行は、アウグスタス・ハインツが当時頭取であったニューヨーク、マーカンタイル・ナショナル銀行のコルレス(代理)銀行であり、融資の担保としてユナイテッド銅社株も保有していた。 ユナイテッド銅社株の買い占め失敗やビュート・ステート貯蓄銀行の破綻にF・アウグスタス・ハインツが関与していたことは、マーカンタイル・ナショナル銀行にとって「不愉快極まりないこと」とされ、同行は木曜午前11時にアウグスタス・ハインツ頭取が辞任したと発表した。だが、時すでに遅く、ユナイテッド銅社株暴落のニュースは広まってしまっていたため、預金者は一斉にマーカンタイル・ナショナル銀行に預金を引き出しにきた。マーカンタイルは数日の引き出しに耐えうるだけの現金を持ち合わせてはいたが、預金者たちはハインツの一味チャールズ・モースの銀行からも金を引き出し始めていた。取り付け騒ぎはモースのノースアメリカ・ナショナル銀行とニューアムステルダム・ナショナル銀行でも発生。ニューヨーク資金決済機構(NYCH)は、アウグスタス・ハインツとモースについての悪いうわさが銀行システム全体に与える影響を懸念し、10月20日日曜日、モースとハインツをニューヨークの銀行業界から排除するよう命じた。買占めが失敗した後、その週末までの間に発生した取り付け騒ぎは散発的であったが、これはハインツ関連の銀行からの引き出された資金が、単にニューヨークの他の銀行に預金させ換えられただけだったためである。
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