誘導形電力量計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 19:02 UTC 版)
現在、電力量を計量するものとして一般的に広く用いられているのが誘導形電力量計(ゆうどうがた-)である。原理としてはアラゴーの円板を応用したもので、計器の内部には電力に見合った速度で回転する円盤がある。 円盤はアルミニウム製で、直径およそ85ミリメートル、厚さは1ミリメートル程度。円周を100等分した目盛りを外周に刻み、うち一点を黒色に塗り基準としている。電力が流れていないにもかかわらず、円盤が回転してしまうクリーピング(潜動)現象を抑えるため、円盤上に2か所、直径1~2ミリメートル程度の穴が開けられている。 円盤を挟み込むようにして電圧コイルと電流コイルとが配置されており、これらが円盤を駆動させる原動力を生む。円盤の回転速度を電力に比例させるため、永久磁石を他方に配置し制動力としている。計器の精度を高めるため、重負荷補償装置や位相補償装置、温度補償装置、加えて誤差調節のための重負荷調整装置、位相調整装置、軽負荷調整装置が設けられている。 円盤の中心には軸が通され、その両端を軸受によって支持している。軸受における摩擦は計器誤差の原因となるばかりか、計器の耐久性をも左右するため、可能な限り摩擦の少ない軸受が用いられる。 円盤の回転力は減速歯車を介して取り出され、計量装置に電力量を表示する。計量装置は電力量計の表面、外から見えるようにして配置されており、数字によって表示する現字形(げんじがた)と、指針によって表示する指針形(ししんがた)がある。中には、一定の電力量に達するごとにパルス信号を送信する端子を設けたものもあり、これにより電力量を遠隔地でも確認できるようになっている。
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