訴訟に至る原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 23:19 UTC 版)
原告の株式会社(以下「原告会社」と略記)は地元の福山市に本店を置き、福山市や広島市でスーパーマーケット・化粧品販売業・薬品販売業などを経営している会社であった。原告会社は広島県福山市築切町263番地、「くらや福山店」に薬局を設置することを県福山保健所に申請した。しかし、申請の後、県の回答が出される前に薬事法の改正があり、「薬局距離制限規定」が導入された。改正後の薬事法およびこれに伴う県条例をもとに、県は不許可の決定を原告会社に通知した。 当時、現場は「国鉄山陽線の福山駅の近くでしかも福山市の商店街の中心地に位置して流動人口も多い地域」であったとされているが、不許可決定の背景には、申請場所から最も近い「既存の薬局から水平距離で55メートルのところにあり、しかも半径約100メートルの圏内には、5軒、半径約200メートルの圏内には13軒の薬局がある」状況であったことが挙げられている。 この不許可決定に対して、法律の改正前に申請が受理されたにもかかわらず、改正後の法律を適用していること、当該申請場所は国鉄福山駅前の繁華街であり、薬局が密集していても過当競争になるおそれがないこと、そして薬事法の改正自体が、憲法第22条が保障する営業の自由を侵害しており違憲であることから、処分は違法であるとして、原告会社が不許可決定の取消しを求めて、広島県を相手に広島地方裁判所へ取消訴訟を提起したものである。
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