触法精神障害者(しょくほうせいしんしょうがいしゃ)
犯罪行為をしたとしても、精神病などの理由で善悪の判断ができないと認められる心神喪失者は、刑事責任を問うことができない。
起訴前の捜査段階で、被疑者の言動からその刑事責任能力が疑われる場合、精神鑑定を受けさせる。鑑定の結果、心神喪失の状態にあると判定されれば、不起訴になる。また、裁判で刑事責任能力がないと判断された場合にも、無罪が言い渡される。
このような触法精神障害者は、精神保健福祉法の手続きに従って処遇されている。自分を傷つけたり、他人に危害を加えたりするおそれがあると判断されれば、都道府県知事によって指定病院に入院させられる。この措置入院は、自傷他傷のおそれがなくなるまで続く。
2001年6月、大阪府にある小学校で、精神病院を出た触法精神障害者が児童らを殺傷する事件が発生した。この事件をきっかけに、触法精神障害者の処遇のあり方が論議され、再犯を防止するための対策を制度化する動きが始まった。しかし、事実上の保安処分となることから、社会正義の実現と基本的人権の尊重が真っ向からぶつかり合っている。
(2002.02.04更新)
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