角道不開左美濃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 09:40 UTC 版)
「左美濃#角道クローズ左美濃」も参照 さらに2010年代後半から、最大限に手数を省いて3一玉型の左美濃にする形も出現。 実戦例には2018年の第59期王位戦七番勝負第3局などがあり、先手中飛車も愚形となるが、左銀も活用される超速とは違って重圧はかからないので、お互い玉を囲う展開である。この後△3四歩▲3八銀△4四歩▲5四歩△同歩▲同飛△4三金▲5九飛が進行の一例。 他に△3四歩では先に△4四歩と突き、▲3八銀なら△4三金で、5筋の歩を交換させない指し方もある。このため2018年8月の王位戦七番勝負第3局、▲菅井竜也対△豊島将之戦では△4四歩に▲5四歩△同歩▲同飛と交換し、以下△4三金▲5九飛△3四歩▲5五銀△同銀▲同角△6四銀▲7七角△5四歩▲1八香△3三角▲1九玉△2二玉▲2八銀と中飛車側は穴熊に組んだ。 △持駒 なし ▲持駒 なし第6-4図 角道不開左美濃(図は△5二金右まで) △持駒 なし ▲持駒 なし第6-5図 角道不開左美濃(図は△1三角まで) なお、中飛車側が素直に穴熊に組むと、第6-5図のように△1四歩~1三角とすると先手は6九の金が右方面に動けない。この端角戦法が3四を省略したからこその新構想である。 そして、後手は角頭を攻められる危険も緩和され、陣も△2二玉から△4四歩~4三金とする手など、指す手に困らない。 △持駒 なし ▲持駒 なし第6-6図 角道不開左美濃(図は▲3八銀まで) △持駒 なし ▲持駒 なし第6-7図 角道不開左美濃(図は△7三桂まで) その後、後手の左美濃に対して先手も▲5五歩から5六銀型に構える陣形が指されていく。特に先手は相手の左美濃に自陣も美濃に素直に組んでも穴熊の含みも消えて、固さも競えず損となるため、5六銀型に構える工夫をしている。 代表局には2018年11月の順位戦A級、久保利明対糸谷哲郎戦など。また、2019年の叡王戦本予選、菅井竜也対渡辺明戦では第6-6図のように△3四歩を保留して△7二飛として攻めをみせた。7二飛からは2017年6月に棋王戦予選、▲北浜健介対△阿部隆戦では▲6八角△7五歩▲同歩△同飛▲6六歩△7三桂▲7二歩と進んだ。 この形はこうして双方工夫しながら、第6-7図のような局面も出現。先手は5五の位を取るのを省略し、一方で後手は右の銀は6二に置き、7三の地点には桂馬を跳ねている。先手が▲4六銀と銀の活用をしてきても△4四歩から△1三角に構える狙いがある。それでも4六銀であると後手から△6五桂▲5九角△4五歩、といった攻撃手段が控えている。
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