要介護認定の適正化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 07:08 UTC 版)
厚生労働省は平成19年2月19日開催の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議において「要介護認定の適正な運営について」と題する資料を示し、これ以降、「要介護認定適正化事業」を実施するなど要介護認定の「適正化」に取り組んだ。 課長会議資料で示されたのは、二次判定(介護認定審査会)での介護度の軽度変更率・重度変更率を都道府県ごとに集計したもので、全国平均で重度変更超過となっていること(軽度変更7.4%・重度変更20.1%)、都道府県により変更率に大きな違いがあること(宮城県で軽度変更3.3%・重度変更31.0%となっているのに対し、鳥取県で軽度変更17.2%・重度変更14.3%)が明らかとなった。また、一次判定が「非該当」及び「要支援1」の場合に重度変更率が高いことも指摘された。 ただし、厚生労働省は各市町村の事務について直接指示することはできず、また各市町村も介護認定審査会の審査判定に直接介入することはできない。このため、厚生労働省は、地方自治法上の「技術的助言」であることを前提にしつつ、「認定適正化専門員」(厚生労働省職員及び事業委託先の三菱UFJリサーチ&コンサルティング社員)を介護認定審査会の会議に同席させ、個別案件には介入しないものの、会議後に審査判定について指摘をする形とした。 介護保険の財源には国の負担分があり、都道府県間・市町村間で認定にバラつきがあるとすれば公平性を欠く。また、一次判定での統計的推計で反映されていない要素を調整するのが二次判定であるならば、軽度変更率と重度変更率は同じになるはずだが、実際には重度変更超過となっていた。こうした点の「適正化」を厚生労働省は意図したが、それは要介護認定の軽度化につながるものでもあった。前年の平成18年4月にスタートした新予防給付で訪問介護及び通所介護が包括報酬化され事実上給付抑制になったこととも重ねて、社会保障費抑制のための恣意的なものだとする批判的な受け止め方も生じた。
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