行政・宮廷機関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 17:25 UTC 版)
ラスール朝の行政機関や宮廷機関は、イエメン・アイユーブ朝など、ラスール朝に先行する諸王朝のものが継承された。例えば、食材の分配に関与した宮廷組織であり、「館」を意味する「ハーナ」という機関が挙げられる。ラスール朝の官僚機構は、アイユーブ朝の支配体制を継承したマムルーク朝から影響を受けたという説があるが、馬場 (2017)は、ラスール朝の基盤となる機構はマムルーク朝成立以前に完成していたとしている。また、ラスール朝に存在する宮廷機関も存在した。例えば、応接館と呼称される、宮廷訪問者への対応をする機関が存在した。 ラスール朝の宮廷に従事していた去勢された奴隷であるハーディムのうち、高位のものはタワーシーと呼ばれた。タワーシーはアミールとして軍を率いたほか、スルターンの代理を務めた。また、ラスール家の家内を監督するズィマームという役職を務めることもあった。タワーシーはこうした責務と引き換えにイクターを授与されるといった恩恵を享受した。また、タワーシーはラスール朝の各地に様々な建築物を建設した。 マラーキブ・アッ=ディーワーン (marākib al-dīwān) と呼ばれたラスール朝の行政機関は、アデンとエジプトの港であるアイダーブとの間で物資や人々を運ぶための艦隊を有していた。また、後述するように、ラスール朝は商人の船を海賊から守るという目的で、ガレー船で構成されるシャワーニー船団という海軍戦力を有していた。シャワーニー船団はムザッファル1世の時代にズファールを攻略する際にも用いられた。
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