行政と法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 03:35 UTC 版)
行政の観念は元来は法と無関係であった。治山・治水・都市造成など政策の実施は国家の成立とともに行われてきたもので法律の根拠が必要とされていたわけではない。近代以前の行政は法が支配しているわけではなく、人の支配による専断的な政治が行われており、封建領主や専制君主は一方的に行政を執行していた。 法治主義(ほうちしゅぎ)とは、「国家のあらゆる社会活動は、法に従わなければならない」という原則をいう。したがって、行政における法治主義(法治行政の原理(ほうちぎょうせいのげんり))は、行政活動は、その担当者の恣意や行政部外者からの圧迫(暴行や脅迫等を含む)によってではなく、客観的な法に従って行わなければならないという一種の規範的要請を意味する。 法治行政の原理はドイツを中心とする大陸法系諸国で発達した。法治行政の原理でいう「法」は立法府の制定する法律を意味し、法律によって行政の恣意や専断を防ぐという趣旨に基づく。法律による行政の原理は、次の3つの原則からなる。 法律の法規創造力国会で制定する法律だけが、国民の権利義務に関する規律である法規を創造出来る。 法律の優位法律が存在する場合には、行政作用が法律に違反してはならない。 法律の留保一定の行政作用については、法律の根拠がなければならない。 一方、アングロサクソンの英米法系の諸国では法の支配の原理が発達したが、法の支配でいう「法」では判例法が重視され、判例法により立法権や行政権がコントロールされるとともに適正手続の保障を重視する。
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