色紙絵と扇面画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/28 10:24 UTC 版)
鎌倉幕府将軍の宗尊親王の御所には、「色紙形」に源氏絵を描き、それを屏風に貼り混ぜたものがあったという記録がある。「色紙形」とはほんらい屏風の上のほうに、その屏風の絵の内容に沿った和歌を記した部分のことだが、これはその「色紙形」の大きさの紙に源氏絵を描き、それを屏風に貼り混ぜたものであった。この「色紙形」は20cm前後四方の大きさの紙で、これに絵を描いたものを「色紙絵」と称する。この源氏絵を描いた色紙絵はのちに室町時代以降には土佐派の絵師などによって盛んに描かれるようになり、それらは画帖や屏風に貼り混ぜるなどのかたちで残されている。 また源氏絵は扇に描く絵の題材にもなった。現在大阪四天王寺をはじめとする諸所に蔵される扇面法華経冊子(12世紀ごろ)のなかには、源氏絵を描いたものがあるのではないかといわれているが、明確な記録や作例としては中世以降のものがある。上で取り上げた『看聞日記』や室町時代の公家三条西実隆の日記『実隆公記』には、源氏絵を描いた扇の地紙を貼り混ぜた屏風について記されている。また近世には俵屋宗達とその工房で製作された扇について仮名草子『竹斎』に記述があり、「扇は都俵屋が、源氏の夕顔の巻、絵具を飽かせて書きたりけり」とある。当時の京都において、俵屋宗達とその工房で描かれた源氏絵の扇が評判になっていたということである。
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