自動車の運転席用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 23:50 UTC 版)
運転席の腰掛としてのバケットシートの起源はF1用のレース車両に使用されたものが初めとされ、過大な横G等により運転姿勢を崩さない為に様々な試行が取り入れられる。 第二次世界大戦中ドイツ国防軍及び武装親衛隊で用いられたキューベルワーゲンに於いては、不整地を走る為に乗員を保持しつつ、戦闘の際の素早い下車展開の妨げになるシートベルトを着用せずに済む様にバケットシートが採用された。また、キューベルヴァーゲンは元々キューベルジッツヴァーゲン(Kübelsitzwagen)と呼ばれていたが、Kübelsitzと言う語は英語のbucket seatに直訳できる。 座席の拘束性は、一般にはホールド性と呼ばれ、変化しつづける横Gに対して、運転者が自分の体の位置を保持しやすいかどうかを表す。これを高める為、バケットシートは肩、脇腹、腰、腿の体側を覆うようにすることで、運転者自身が踏ん張らなくても、運転操作を行えるように設計されている。 ホールド性を高めてゆくと、座ったまま伸びをするなど、運転操作以外のあらゆる行動が制限され、乗降性も悪化するなど、乗用車としての機能性は低下してしまうため、公道用のバケットシートは、それらを如何にバランスさせるかという点でさまざまな種類のものが作られている。 また、運転姿勢の保持以外に、骨盤や背骨の角度を適正化し、神経痛を防ぐ役割や、適切なシートベルトとの組み合わせで、衝突時の安全性を確保する役割もある。 自動車メーカー純正品より強力にサポートする設計のバケットシートが市販されている。従来は閉鎖された道路で使われる競技用途であったが一般公道でも使える製品も販売されている。日本でも車検の規制緩和で、車検対応品であれば純正品以外でも車検が取れるようになった。その為、自動車愛好家が、普段使用する車に取り付けている姿も見られる。 一般車ではベンチシートより装着率が高く、ほとんどの車両で採用されている。スポーツモデルの市販車では純正装備でよりホールド性が高いバケットシートが採用されている。また、レカロ社など大きく製造業者のロゴが表示された状態で装着される場合も有る。競技用車両では高いホールド性の物に交換されていることが多い。
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