腐朽の所見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:01 UTC 版)
腐朽型は典型的な褐色方形腐朽 で、腐朽被害を受けた材は黄褐色(腐朽が軽微な場合)、あるいは赤褐色ないし黒褐色(腐朽が進行した場合)を呈し、縦横に亀裂を生じてもろく砕けやすくなり、小さなブロック状に崩れる。また、子実体が形成される頃には、腐朽の範囲は時として心材部のほぼ全体に及び、被害樹の地際から高さ3 m程度にまで達する。 子実体を発生するまでに腐朽された材では、仮導管の壁を貫通してハナビラタケの菌糸が蔓延している。重縁紋孔から仮導管に菌糸を侵入させることも多く、時として射出組織にまで蔓延することがある。宿主の材中の菌糸は径 (1.2-)2.0-3.5 (-5.0) μm 程度で無色透明であり、かすがい連結がしばしば見出される。材中においては、通常は厚壁胞子の形成は認められない。 実験室内での腐朽力試験では、北海道産のエゾマツでは 21.0 - 45.3%、同じくトドマツに対しては 25.1 - 47.8% の重量減少が認められたという。 宿主樹木への感染は、地中の根系あるいは地際の樹皮などの傷から開始されるものと推定されてはいるが、具体的な感染過程についてはまだ不明な点が多い。また、カイメンタケやナラタケ類は、地下水が滞留しやすい緩斜面の下部などに多発するが、ハナビラタケはむしろ土壌が柔らかくて透水性に富んだ環境を好むとされている。また、樹木の腐朽病害の発生は、宿主が老齢になるほど罹患率が高くなると想像されやすいが、ハナビラタケについては、樹齢30年に満たない比較的若い樹であっても発病することがある。
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