脊髄ポリオ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:32 UTC 版)
脊髄ポリオは麻痺型ポリオで一番多い型で、前角、すなわち脊柱の腹側にある灰白質の運動ニューロンにウイルスが侵入した結果として生じ、この運動ニューロンは胴部、四肢、肋間の筋肉を含む、筋肉の運動を支配する。ウイルスの侵入は神経の炎症を生じ、運動ニューロンの神経節の損傷と破壊に繋がる。脊髄の神経細胞が死ぬと、ワーラー変性が発生、死んだ神経細胞が元々支配していた筋肉は弱ってしまう。神経細胞の破壊によって被支配筋は脳や脊髄からの信号を受け取れなくなり、神経刺激を受け取らなくなった筋は萎縮、弱った筋肉は制御困難になって最終的に完全な麻痺に至る。麻痺の重篤度は急速に最大に達し(2日から4日)、通常発熱と筋肉痛を伴う。深部腱反射にも影響はおよび、消失ないし低下する。一方で麻痺した四肢の感覚障害が起こることはない。 脊髄麻痺の範囲は影響を受けた神経の領域に依存し、頸部、胸部、腰部の各領域に影響が及ぶ可能性がある。ウイルスの影響が体の両側におよぶこともあるが、多くの場合、麻痺は非対称的である。どの四肢も、そしてどの四肢の組み合わせも麻痺になりうる。つまり、片脚の事もあれば片腕の事もあり、また両脚両腕におよぶ事もある。麻痺はしばしば遠位(指先やつま先)よりも近位(上腕や大腿の付け根)でより重篤となる。
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