背景及び立法趣旨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 22:38 UTC 版)
「陸海軍刑法ノ適用ニ関スル法律」の記事における「背景及び立法趣旨」の解説
陸軍刑法及び海軍刑法並びにそれらに関連する法体系の整備については、1872年に兵部省から陸海軍刑律が制定され、1881年に陸軍刑法、海軍刑法として別々に制定された後、陸軍、海軍共に別々に行われてきた。 陸軍における刑事実体法たる陸軍刑法においては、1881年に明治14年太政官布告第69号として制定され、本法施行前までに2度改正が行われた。また、陸軍における刑事手続法たる陸軍治罪法においては、1883年に明治16年太政官布告第24号として制定され、1888年に明治21年法律第2号により全部改正が行われた。 一方海軍においては、刑事実体法たる海軍刑法を、1881年に明治14年太政官布告第70号として制定され、本法施行前に4度改正が行われた。また、海軍における刑事手続法たる海軍治罪法においては、1884年に明治17年太政官布告第8号として制定され、1889年に明治22年法律第5号により全部改正され、さらに本法施行前までに1度改正が行われた。 このように陸海軍共に個別に法体系の整備が行われたきたが、これまで陸海軍が共同して行うほど大規模な実戦もなく、また陸海軍が共存する軍事機関の整備もまだ進んでおらず、実務上特段問題が生じることはこれまでなかった。 時代を下るにつれ、陸軍参謀本部条例、海軍軍令部条例、大本営条例等陸海軍が共存する軍事機関の整備がすすみ、さらに日清戦争等陸海軍が共同して軍事行動を行う機会がでてきた。しかし陸海軍刑法における想定では、同じ軍に所属するものに対して処罰を行うものであって、他の軍に所属するものに対して陸海軍刑法いずれも処罰を行うことができない。このような状態を認めると、軍内の紀律が乱れることになり、もって国家の安寧に影響を及ぼすこととなるため、政府は、他の軍の軍務を行う、又は陸海軍が共同して軍務を行う際の陸軍刑法及び海軍刑法の適用に関する特別法として、本法を制定することとした。
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