職権による場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 09:27 UTC 版)
所有権保存登記所有権の登記又は表題登記がない不動産につき、嘱託により所有権の処分の制限の登記(差押・仮差押・仮処分など)をする場合、登記官は職権で所有権保存登記をしなければならない(法76条2項)。この場合において、表題登記がないときは、登記官は、職権で当該不動産の表示に関する登記の一部をしなければならない(法76条3項)。登記すべき事項については後述。なお、以上の場合、登記官は当該不動産の所有者に対し、登記が完了した旨を通知しなければならない(規則184条、準則118条13号・同別記82号様式)。 通知の様式 所有権保存登記の更正・抹消(処分の制限の登記関連)処分の制限の登記の嘱託に基づき職権でされた所有権保存登記の、更正登記は所有権登記名義人の申請によりすべきである(1966年(昭和41年)4月12日民甲1076号回答)。嘱託によりできる規定が存在しないからである。 処分の制限の登記を錯誤により抹消する嘱託がされたとしても、所有権保存登記を登記官が職権で抹消することはできない(1963年(昭和38年)4月10日民甲966号通達)。 特殊な事例建物新築工事の先取特権保存の登記をする場合、登記官は表示に関する登記(法86条2項1号)をし、登記記録の甲区に登記義務者の氏名又は名称及び住所並びに不動産工事の先取特権の保存の登記をすることにより登記する旨を職権で記録しなければならない(規則161条)。なお、当該建物の所有者となるべき者が登記義務者とみなされている(法86条1項前段)。 工事が完了した後は、当該建物の所有者は1か月以内に表題登記をし(法47条1項)、遅滞なく所有権保存登記をしなければならない(法87条1項)。この場合、登記官が職権でした表示に関する登記と甲区にした登記は抹消される(規則162条1項・2項)。 表示に関する登記法75条又は76条3項の規定により、登記官が職権ですべき表示に関する登記の事項は、表題部所有者に関する登記事項・登記原因及びその日付・敷地権の登記原因及びその日付(法76条3項の場合を除く)以外の事項である(規則157条各号)。また、表題部に所有権の登記をするために登記をする旨を記録することとされている(規則157条2項・1項かっこ書)。
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