聖歌としての聖体礼儀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 19:24 UTC 版)
正教会では祈祷は同時に歌であり、聖体礼儀では詠隊(聖歌隊)が歌う部分については事前にほぼ全文が楽譜に起こされていることが多い。 聖歌には「ビザンティン聖歌」「グルジア多声聖歌」「ズナメニ聖歌」「ヴァラーム聖歌」「ロシア聖歌」など、時代や地域を反映した複数の様式を示す通称がある。他の言語から聖歌を取り入れる際には自分達の言語で自然に言葉が聴こえるようにするため、言語によってフレーズの作法が変化しオリジナルな聖歌とは異なる場合が多い。それも多様性の豊かさであり、鷹揚に受け入れられているが、他方、オリジナルの聖歌との伝統性を具体的にどのように確保するのかといった問題意識も存在する。 著名な作曲家が作曲した聖体礼儀の聖歌としては、ボルトニャンスキー、チャイコフスキー、ニコライ・リムスキー=コルサコフ、ラフマニノフ、パヴェル・チェスノコフ、アレクサンドル・グレチャニノフなどが知られる。 音源では単一の作曲家の作品をまとめてリリースされることも多いが、実際の奉神礼では複数の作曲家の聖歌や作者不詳の古い起源をもつ聖歌を組み合わせて使うことがほとんどである。 日本正教会で単旋律もしくは混声三部合唱で歌う際に通常用いられるヘルヴィムの歌は、ウクライナのグルコウ (別名フルーヒウ) 出身のロシア正教会の作曲家であるボルトニャンスキーによる三拍子のものを、日本語訳した際に四拍子風に編曲したものである(四部合唱版も存在するがこちらは歌われるのは稀)。
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