置引
- 店頭ニアル品ヲ二人腰掛ケナカラ窃取スルコトヲ云フ。〔第一類 言語及ヒ動作之部・岡山県〕
- 本類「おき」(※「おき」)同意。〔第三類 犯罪行為〕
- 銀行郵便局などにて人の油断に乗じ金銭を奪ひ一目散に逃走するを慣用とする盗賊。刑事の用語。
- とばおい(※「とばおい」)を見よ。〔犯罪語〕
- 〔犯〕置差のこと、其項(※「おきさし」)参照。
- は前に掏摸のところで記したものと同じで之に「オキ」「オキヒキ」「ケレンオキ」「カルクル」「コロオキ」「ボツカブセ」等の種類と名称がある。
- 置引は前にも述べた通りで、又「置替」とも云ふ。
- 之は犯罪者の掻浚ひと同じで、銀行、郵便局等で預金者が窓の側などに置く金品を浚つて逃げるものである。そして相手の注意力を転換させる為めには話しかけたり、足を踏んだり、甚しいのになると袂の中へ煙草の吹殻やマツチの燃えさしなどを入れるものがあり、此の場合多くはダチを使ふものであるが時には単独でやるのもある。「タケダシ」とも云ふ。
- 郵便局銀行等で人の金を奪つて逃る盗人。
- 「おき(※「おき」)、おきかえ」等に同じ。同項参照。
- 停車場、待合室、会社銀行等にて他人の鞄、包物類を窃取するを云ふ。「おき、おきかえ、おきしき」等に同じ。
- 汽車停車場其の他待合室で油断させて荷物を盗む。大阪 強窃盗仲間。
- 銀行、会社、駅、停車場、待合室で荷物を盗む。〔一般犯罪〕
- 置いてある品物をかっぱらうこと。〔掏摸〕
- 「おき」(※「おき」)に同じ。
置引き
置引き(おきびき)とは、置いてある他人の荷物を持ち逃げすること[1]。
日本の刑法上の用語ではなく慣用的に用いられており、警察庁では窃盗の一形態として取り扱っている[2]。
財物が被害者の占有を離れていた場合には占有離脱物横領罪、被害者の占有の下にある場合には窃盗罪に問われる[3]。最高裁は、被害者が公園のベンチに財布を置いて約27メートル離れた時点で被告人が当該財布を領得した事案について依然被害者の占有は失われていないとして窃盗罪の成立を認めた[4]。
パリのように余りに頻繁に置引き事件が起こるため、警察ですら置引きを真剣に捜査しないなど置引き被害を徹底的に自己責任とする風潮の都市もある[5]。
その他
川端康成の小説に「おきびき」という短編がある(『オール讀物』1956年3月号に発表)。
脚注
- ^ おきびき - kotobank
- ^ 第4章 犯罪情勢と捜査活動「(ウ)窃盗犯」 - 昭和54年警察白書
- ^ 西田典之『刑法各論(初版)』(弘文堂、1999年)144頁
- ^ 平成16年8月25日最高裁第三小法廷決定、刑集58巻6号515頁
- ^ 華の都パリで「置き引き」被害 ~仏旅行・出張者は注意!~ Japan In-depth 2022/3/5 (2024年3月14日閲覧)
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