縦隔CT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 00:13 UTC 版)
「コンピュータ断層撮影」の記事における「縦隔CT」の解説
胸部CTには必ず、肺野条件と縦隔条件の2種類がある。実際のCT値で画像を構成すると人間の目では認知できなくなるためCT画像は画像の加工を行っている。具体的にはCT値に従って十数段階のグレイスケールの濃淡を表す。グレイスケールで表す範囲をウインドウ幅(WW)といい、その中心のCT値をウインドウレベル(WL)という。例えばWW/WL=300HU/10HUとすると、10HUを中心に300HUがグレイになる。すなわち、160HU以上なら真白であり、-140HU以下なら真黒な画像が出来上がる。WW/WLの設定で肺野の病変を抽出しやすくしたのが肺野条件であり、縦隔の病変を抽出しやすくしたのが縦隔条件である。縦隔条件は腹部の条件に比較的近いことが多い。 縦隔は成書によって様々な区分がされている。区分にはっきりとした解剖学上の構造物がないため、これらの区分はあくまで便宜上のものである。 前縦隔 心血管の腹側で上部の大血管の腹側と下部の心横隔膜角が主な部位である。前者は胸腺由来の病変(胸腺腫など)、異所性甲状腺由来の病変や胚細胞性腫瘍、神経内分泌腫瘍が好発する。嚢胞性疾患としては胸腺嚢胞、心膜嚢胞、奇形腫、リンパ管腫が多い。 中縦隔 下行大動脈以外の大血管、心臓、気管、気管支を含み、心前面から食道より腹側の部分である。これらの臓器およびリンパ節由来の病変が多い。嚢胞性疾患としては前腸嚢胞が多い。 後縦隔 食道を含んでこれより背側の部分で習慣として本来は縦隔に区分されない傍脊椎溝を含む。傍脊椎溝には神経性腫瘍、髄膜瘤が好発する。神経腸嚢胞を伴うことが多い。 縦隔の嚢胞は単胞性、多胞性で分類することが多い。単胞性では前腸嚢胞(気管支嚢胞、食道重複嚢胞、神経腸嚢胞)、心膜嚢胞、心膜憩室、胸腺嚢胞、膵偽嚢胞があり、多胞性ではリンパ管腫や奇形腫が挙げられる。
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