絶滅の危機にある種の法(ESA)における「市民訴訟条項」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 06:05 UTC 版)
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1973年にアメリカ合衆国で制定された「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律(Endangered Species Act)」では、緊急性の高い自然保護訴訟についての原告適格を広く認め、「市民なら誰でも(any person)」裁判に訴えることができる、と宣言した。 「誰でも」ということは、原告適格について争わないという意味である(「原告適格がない、とすることで一切の議論を行わず門前払いにするようなことはやらない」という法による確約でもある)。そのため、その後の自然保護訴訟では、ダグラス判事の助言を入れるかたちで、訴訟対象の開発計画によって最も被害を受ける自然物の名を原告として記載するという流れが生まれた。1978年に、ハワイにおいてパリーラ(鳥の一種)の名のもとに、人間が放牧した家畜による自然破壊を差し止め家畜をパリーラの生息地から除去することを求めて提起された自然保護訴訟が最初の事例となった。この訴訟では、パリーラは勝訴し、パリーラ生息地からの家畜の除去が命じられた。 当該訴訟において、「原告側弁護士がパリーラから依頼を受けた」というような話はなく、実質的な原告は自然保護団体や開発に反対する人々であった。 なお、ESAにおける原告適格制限の撤廃を受け、アメリカ合衆国では、日本において提案されている意味での「原告適格を拡張するための『自然の権利』という思想」は、特別な概念としての必要性を失い、当然のものとされることになった。この原告適格制限の撤廃は、アメリカ合衆国においては、米国文化財保護法(National Historic Preservation Act, NHPA)などにも見られるものとなっている。
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