累積階層による動機づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 23:44 UTC 版)
「ツェルメロ=フレンケル集合論」の記事における「累積階層による動機づけ」の解説
ZFC公理の動機の1つは、ノイマンによって導入された集合の累積階層である。この観点では、集合論の宇宙は階層的に構築され、順序数ごとに1つの階層が存在する。階層0では集合が存在しない。次の各階層で、すべての元が前の階層で追加されている場合、集合が宇宙に追加される。したがって、空集合は階層1で追加され、空集合を含む集合は階層2で追加される。この方法で得られたすべての集合の集まりは、すべての階層で V と呼ばれる。 V 内の集合は、その集合が V に追加された最初の階層を各集合に割り当てることにより、階層構造に配置できる。 集合が純粋かつ整礎的であるとき、かつそのときに限り、集合がVに含まれることを証明できる。序数のクラスが適切な反射特性を有する場合、VがZFCのすべての公理を満たすことを証明できる。たとえば、集合 x が階層 α で追加されたと仮定する。これは、 x のすべての要素が α より前の階層で追加されたことを意味する。すると、 x の部分集合のどの元も階層 α の前に追加されるため、 x のどの部分集合も階層 α で追加される。これは、分離の公理が構築できる x の部分集合が階層 α で追加され、 x のべき集合が α の次の階層で追加されることを意味する。 VがZFCを満たすことの完全な考察については、 Shoenfield (1977)を参照せよ。 累積階層に階層化された集合の宇宙という様式は、ZFCや、フォン・ノイマン=ベルナイス=ゲーデル集合論(英語版)(NBGと呼ばれることが多い)やモース-ケリー集合論などの関連する公理的集合論の特徴である。累積階層は、新基礎などの他の集合論とは互換性がない。 V の定義を変更して、各階層で、前の階層の和集合の部分集合をすべて追加するのではなく、ある意味で定義可能な場合にのみ部分集合を追加するようにもできる。これにより、構成可能宇宙 L を与える、より「狭い」階層構造が得られる。これは、選択公理を含むZFCのすべての公理も満たす。 V = L かどうかはZFC公理から独立している。 Lの構造は V より規則的で良い性質を持つが、 V = L を「構成可能性公理(英語版)」としてZFCに追加する必要があると主張する数学者も少数ながら存在する。
※この「累積階層による動機づけ」の解説は、「ツェルメロ=フレンケル集合論」の解説の一部です。
「累積階層による動機づけ」を含む「ツェルメロ=フレンケル集合論」の記事については、「ツェルメロ=フレンケル集合論」の概要を参照ください。
- 累積階層による動機づけのページへのリンク