米国のグラフ電卓市場での高いシェア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 09:03 UTC 版)
「TI-84 Plus シリーズ」の記事における「米国のグラフ電卓市場での高いシェア」の解説
調査会社NPDデータ社によると、テキサス・インスツルメンツ社のグラフ電卓は2013年7月~2014年6月のアメリカ合衆国のグラフ電卓市場の93%を占めている。残りの7%はカシオ計算機が占めており、ヒューレット・パッカード社のシェアは皆無に等しい。 テキサス・インスツルメンツ社がこのような独占的な立場になれたのは、TI-84 Plusシリーズの貢献が大きい。アメリカの学校教育で使用される電卓のほとんどが TI-84 Plusシリーズだからである。学校教育では電卓を統一しないと教育に不便だという事情があり、その標準的な地位をTI-84 Plusシリーズが勝ち取ったのである。 バークレイズのアナリストであるブレイン・カーティスによれば、2014年時点の基本モデルTI-84 Plusの製造原価は推定でわずか$15〜$20にすぎないという。それにも関わらず、基本モデルTI-84 Plusの実売価格は$90〜$120であり、実売価格の50%以上がテキサス・インスツルメンツ社の利益と考えられている。 同社の電卓事業は同社のファイナンシャルレポートの"Other"(その他の事業)にまとめられているため実態は不明である。「その他の事業」は2013年時点でテキサス・インスツルメンツ社の営業利益の30.8%を占めていた(2013年度のファイナンシャルレポートによると、その他の営業利益は7.88億ドル)。電卓事業の営業利益が具体的にどれほどなのかは不明だが、TI-84 Plusシリーズはテキサス・インスツルメンツ社に多くの利益をもたらしていると思われる。 TI-84 Plusシリーズがこのような高価格で販売できるのは、学校で使用する電卓として独占的な立場にあるため価格競争をする必要がないからである。 カシオ計算機はTI-84 Plusの対抗機種として fx-9860GII を希望小売価格$79.99で発売している。参考ではあるが、アメリカのAmazonによると、実売価格は2016年11月時点でわずか$54に過ぎない。しかし、これだけ安いにも関わらず、TI-84 Plusのシェアを奪うことにはまだ成功していない。アメリカの学校の教師がTI-84 Plusに慣れているので、他機種の操作方法を覚えることに不安があることと、購入代金を負担するのは生徒ではなく、生徒の親なので、価格はそれほど重要ではないのが実情である。
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