管理者の権利
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 06:04 UTC 版)
費用償還請求権管理者には報酬請求権は無いが、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる(702条1項)。「有益な費用」には有益費のほか必要費をも含む。また、本人のために有益な債務を負担したときは、本人に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる(702条2項、650条2項)。 ただし、管理者の管理が本人の意思に反するものであったときは、本人は現存利益の限度でこれらに応じればよい(702条3項)。また、有益な費用といえども不合理なほど過大であってはならず相当な範囲に限られる。 なお、管理者の報酬請求権が無い点については、医師が偶然倒れていた人を自らの病院に運んで治療した場合の扱いなどに問題となるが、この場合については「有益な費用」として扱うべきとする学説のほか、社会通念上例外的に報酬請求権が認められる場合があるとみる学説もある。 代理権の問題事務管理の管理人に代理権はなく、無断で第三者と契約を結んだ場合には無権代理(表見代理の要件を満たす場合には表見代理)として処理される(通説・判例。大判大7・7・10民録24輯1432頁、最判昭36・11・30民集2692頁)。ただし、緊急事務管理などの場合に特殊な法定代理権の成立を肯認する学説もある。追認された場合には事務管理としてなされたものとして扱われる(大判昭17・8・6民集21巻850頁)。 損害賠償請求権の問題管理者は、本人に過失が無い限り、損害賠償を請求できない(委任者の無過失責任を規定した630条3項を準用していない)。ただし、相当額については有益な費用として扱うべきとの学説もある。
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