管理者の義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 06:04 UTC 版)
事務管理義務事務管理の管理者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、事務管理をしなければならない(697条1項)。また、管理者が本人の意思を知っているか、あるいは、これを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない(697条2項)。 事務管理における管理者の注意義務の程度については、緊急事務管理における注意義務については特則が設けられており(698条)、この反対解釈から通説は緊急事務管理以外の通常の事務管理において管理者は原則として善管注意義務を負うものとしている。 事務管理開始通知義務管理者は事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない(本人が既にこれを知っている場合を除く)(699条)。この義務に違反した場合には管理者は債務不履行責任を負う。 事務管理継続義務管理者は一度管理を始めたら、原則として本人またはその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない(700条)。 例外的に継続が本人の意思に反するか、本人に明らかに不利な場合は管理継続は許されない(700条但書。ただし、緊急事務管理については管理継続しうる場合がある)。この義務に違反した場合には管理者は債務不履行責任を負う。ただし、先述のように、自殺しようしている人を救助する場合など、本人の意思が公序良俗・強行法規に違反するものである場合には事務管理を継続できる(大判大8・4・18民録25輯574頁)。なお、その性質上、事務内容が一回で終了するもの(債務の弁済など)については事務管理継続義務は妥当しない。 委任の規定の準用委任の規定のうち報告義務(645条)、受取物等引渡義務・取得権利移転義務(646条)、金銭の消費についての責任(647条)の規定が準用される(701条)。
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