神経細胞の直接観察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:01 UTC 版)
「脳機能マッピング」の記事における「神経細胞の直接観察」の解説
個々の神経細胞を直接調べる方法。空間解像度は申し分なく高いが、侵襲的であるため基本的には動物実験でのみ行われる。まれに脳外科手術を安全に行うための予備調査としてヒトで行われることもある。 微小電極法(単一細胞記録、複数細胞記録) 非常に細い電極を用い、個々の神経細胞の電位を直接測ることによって細胞の活動を記録する方法。一つの細胞の特性を高い時間解像度で記述できる。ただし生体内で行う場合は、計測している細胞の大まかな位置は分かるものの、細胞の形態や他の細胞との接続などを同時に測定することはほとんど不可能である。 染色、トレーサー(追跡子) 一つの細胞全体を染めることのできる染色や、細胞に取り込まれた後に軸索先端に運ばれるトレーサーを用いて、ある細胞がどの細胞に投射しているかを調べる方法。細胞活動は測定できないため、視細胞や脳幹の細胞など活動電位の表現している情報が比較的明確な細胞などを対象に行われることが多い。染色法やトレーサー物質の種類によっては、特定の神経伝達物質のみを測定することなども可能である。また、トレーサーを投与してから観測するまでの間、視細胞であれば目を塞ぐなどの方法で細胞の活動を変調させることで、細胞の活動が神経の接続に与える影響を、時間解像度は低いものの調べることが出来る。 変性法 神経細胞や神経線維を破壊することで、その細胞自身あるいはそれに接続する細胞の細胞死の痕跡を調べることで、神経細胞の接続を調べる方法。染色色素やトレーサーは多くの場合細胞体にしか与えられないが、変成法では軸索が集中している部分に対しても適用できる。ただし、正常な細胞の活動を観察しているわけではないので、接続を調べること以外への適用は難しい。
※この「神経細胞の直接観察」の解説は、「脳機能マッピング」の解説の一部です。
「神経細胞の直接観察」を含む「脳機能マッピング」の記事については、「脳機能マッピング」の概要を参照ください。
- 神経細胞の直接観察のページへのリンク