社会理論における超個体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/13 17:17 UTC 版)
19世紀の思想家ハーバート・スペンサーは社会組織に対して super-organic という用語を生み出したが(『総合哲学体系』の中の「社会学原論」の第一章のタイトルが "Super-organic Evolution" である)、これは明らかに "organic" と "social" を対比させたもので、個体群のアイデンティティの話ではない。スペンサーは社会有機体説(英語版)として社会の全体論的性質を探究しつつ、社会と有機体の挙動に違いを認識していた。スペンサーにとって "super-organic" とは、有機体、すなわち人間同士の相互作用の持つ創発的属性を意味した。そして D. C. Phillips が指摘したように「創発主義と還元主義には違い」がある。 同様に経済学者カール・メンガーは社会の成長の進化的性質について詳述したが、方法論的個人主義を捨てたわけではない。メンガーは、社会目的論的理由で社会組織が生じたわけではなく、あくまでも「個人」の興味・関心を追求するという経済的主体の無数の努力の結果として社会組織が生まれたのだと主張した。 スペンサーもメンガーも選択し行動するのは個人であるから社会全体を有機体と同列に見るべきでないとしたが、メンガーの方がその点を特に強調した。スペンサーは社会構造を詳しく探究する際に有機体的アイデアを採用しているが、それが主としてアナロジーだったと認めている。したがってスペンサーにとって超個体のアイデアは生物学や心理学の上に社会的現実の別個の階層を明示したもので、有機体のアイデンティティと1対1に対応するものではなかった。 それでもスペンサーは「目に見えるサイズの有機体はすべて社会である」とも主張しており、問題は用語上のものだという示唆もなされてきた。 人類学者アルフレッド・L・クローバーは1917年に superorganic という用語を使っている。超個体という概念の社会的側面は Marshall (2002) で分析されている。
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