研究・メディア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 05:21 UTC 版)
日本での研究やメディアではLGBTの話題の中で稀に取り上げられてきたが、中心的に扱った紹介事例が出始めたのは2010年代に入ってからのことである。 柿沼・布施木らの2011年の論文では、Aセクシャルという用語を紹介するとともに、Aセクシャル研究の現状と問題点を論じたヒンダーリター(2009)Methodological Issuer for Studying Asexuality にレビューを加えている。ここでは、(1)Aセクシャルの定義の問題(現状として、ボガートの「性的な惹かれのないこと」、ヌリウスの「性的指向のないこと」、プラウスとグラハムの「Aセクシャルであるというアイデンティティ」の3つに分裂している)、(2)サンプリングにあたっての協力者獲得や質問方法をめぐる問題、(3)アイデンティティとの関連性の問題の3点に触れており、特に定義とアイデンティティをどのようにすり合わせていくかが重要であるとコメントしている。また2013年には同じく柿沼・布施木が、量的研究からAセクシャルの発生要因に迫ったボガート(2004)Asexuality: Prevalence and Associated Factors in a National Probability Sample を紹介している。ここで柿沼らは先天性のAセクシャルを「狭義のAセクシャル」、後天的な要因(健康・薬理・年齢など)によるAセクシャルを「広義のAセクシャル」として分離しており、ボガートの調査研究からはこれらの判別が難しいことを指摘している。 2016年には、フォタケが日本における「草食系」の言説と無性愛との関連性について論じた英語論文を発表している。ここでは、本質主義的視点と構成主義視点の双方において草食系は無性愛というカテゴリーの傘下に含みうるものであるとしている。またプルジビロらが無性愛について、異性愛中心主義的な文化に抵抗する可能性を秘めていると指摘したように、草食系も「男性らしさ」の言説を再定義しうるものであると述べる。 メディアでの過去の紹介事例としては、2012年にTBS系列『私の何がイケないの?』で無性愛者が出演したほか、2013年に北陸中日新聞、2014年に朝日新聞で取り上げた記事などがある。2018年にはAbemaTV「Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~」で、セクシュアリティ研究者の清水晶子が出演しコメントを述べている。また無性愛(クエスチョニング)の女性主人公を題材にした漫画『桐生先生は恋愛がわからない。』(小野ハルカ)が『裏サンデー』・『MangaONE』で連載された。2022年1月-3月には、NHK総合「よるドラ」枠にて、アロマンティック・アセクシュアルである男女をメインに据えたテレビドラマ『恋せぬふたり』が放送された。
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