砂防ダム未整備と保安林未指定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 03:02 UTC 版)
「平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害」の記事における「砂防ダム未整備と保安林未指定」の解説
1999年広島での土砂災害のときに大きな問題となったのが、新興住宅地での土石流被害であった。これは、広島市自体が平野部が狭いためニュータウンを整備する際に山裾ギリギリまで宅地造成していたにもかかわらず、砂防堰堤など砂防施設が整備されていなかったことによるものである。これを機に国土交通省直轄による砂防施設整備が始まり、国交省および県によって砂防施設の整備が行われ、2000年以降に開発されたニュータウンでは砂防施設をあらかじめ設置したうえで宅造が行われるケースが増えていた。この災害当時でも砂防施設が整備されていた場所では人的・物的ともに被害を抑えられている。 ただこの災害では砂防施設が設置されていないところで大きな被害が発生した。特に多数の被害を出した安佐南区八木では国が砂防施設整備を進めていた が、当地が多数の古墳や遺跡がある地点であること に加えて国の予算の問題で工事がなかなか進まず、当時2基が工事中であったものの完成したものは1基も存在していなかった。 緑井では斜面で保安林指定がされていたが八木では大半の斜面で指定されていなかったため、適切な森林管理や(県農林水産局管轄の)治山ダムなどの地山保全施設整備が行われていなかったと指摘されている。当地にはもともとアカマツが植えられていたが松くい虫で枯れたため、災害発生当時はマツより根張りによる土砂止効果が薄いシラカシなど常緑広葉樹が植えられていた。ただし、別の研究では樹木の根系補強による土砂止機能自体は効果が薄いという結果があること、何より植生は他の土砂災害発生事例と比べて特別悪い状況ではなかったという意見もある。 この被災地一帯には土石流危険渓流は約190か所あった。うち、砂防ダム・治山ダムが設置されていた渓流は34か所ほどで、全体の2割程度しか整備されていなかったことになる。
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